まず始めに、この楽曲のタイトルを説明すると、

十六夜の月と書いて【いざよいのつき】と読みます。

 

十六夜という言葉を教えてくれたのは、相模原の小さなお店で出逢った、

名前も知らない、顔も覚えていないおばあちゃんで、

童謡や、十五夜の月の話から、

『十六夜って書いて、いざよいって読む言葉もあるんだよ』と言って、

ドヤ顔を決めていました。

 

その時、しめしめ、これは、素敵な言葉を学んだぞと喜んで、

必然的に連想した月を並べて、

世の中に幾つも存在する同名の楽曲【十六夜の月】を、寂しさの中に描き始め、

その日の夕方から、月が昇るまでに、あっけなく書き終えています。

 

十六夜の月は、十五夜の翌日、一番綺麗な月が出る夜の翌日に出てくる、

少し、残念な月夜を、放浪癖の悪化した自分に見立てたり、

人恋しさを織り交ぜて、感情に委ねて作りました。

 

当初は、アコースティックギターで唄っていて、

期間限定で、非常に野暮ったいPVを公開していたのですけど、

アルバムで発表する際の構成を考えていたら、音色が物足りなかったので、

ピアノ(MAYUMI氏)、ヴァイオリン(ASSAMARL氏)、

ナイヤビンギドラムス(KARAMUSHI氏)で作りました。

 

本当は、篠笛も入れたかったのですけど、私の篠笛スキルが及ばず、

泣く泣く、断念、妥協をしています。

 

各アーティストさん達には、全部、口で説明しました。

 

ピアノを演奏してくれたマユミ氏には、ここを、こんな感じで、とか、

ちょっとダサくて暗い感じで、綺麗めに、とか、

色々と生意気な事を言ったら、思っていた以上の演奏で、

しかも、女性特有の柔らかさ、優しさを醸し出してくれました。

 

そこへ、レゲエ界の名ヴァイオリニストであり、

DEEJAY(ディージェイ・唄う人の事)でもあるアサマル氏が、

とてつもなく泣ける演奏をしてくれたので、その時点で震えていました。

 

そして、ポップスをレゲエに変えるナイヤビンギドラムスを、

ラスタマンのカラムシ氏が叩いてくれています。

 

更に、青森のソニア氏が、素敵な妖艶コーラスを、

見事に唄い上げてくれて、完成しました。

 

ただでさえノロマな私が、みなさんを手こずらせてしまったせいで、

少し時間が掛かったし、つくづく、踊れない曲だとは思うけど、

多分、ずっと大好きな楽曲です。

 

童謡へ至るには、もう少し、キザな言葉を抜かないとダメですけどね。

 

恋焦がれたとか草

 

PV撮影は大変でした。

 

夏から秋に掛けた詩のくせに、

撮影時は、寒さの残る３月上旬だったので、

木々は枯れているし、寒いし、田んぼは干からびているし、

寒いし、下駄で磯を歩くのは危険だし、寒いし、寒かったし、

日数も限られていたし、眠いし、寒いし、

センスの違いで五十嵐氏はオコだし、何度も私服と和服を脱ぎ変えて寒いし、

演技力０だし、カメラは恐怖だし、

もう、誰か、役者さんに出てもらうべきだったと思ったけど、

大変だったからこそ、寒くて震えていたからこそ、思い入れの深いPVです。

 

相談に乗ってくれたハイローラー氏、英気を養ってくれた大道氏、

アドバイスをくれた遠藤氏、大変な撮影に挑んでくれた五十嵐氏、

そして、不思議な縁の伊豆稲取には、今でも感謝しています。

 

時代劇ではなくて、現在の日本で生まれた楽曲が、

そのまま、PV(プロモーションビデオの略です)になりました。

 

和服の着付けが甘い事は、見逃してやってください。

 

それと、純日本語のみを使用した詩は、この楽曲が初めてでした。

 

少しだけ、哀しい詩かもしれないけど、

誰かの心に触れさせてもらえれば、それで嬉しいです。

 

和服の下着には、赤いふんどしを用いました。