しぶとく、根性のある雨が降っているから、

近所のコインランドリーに行く道中に、おばあちゃんが転んでいて、

すぐに起こしてあげた。

 

おばあちゃんは、同じ地区に住んでいて、

今日は、朝から足元がフラついていたのに、

そんな中、お買い物に出て、リンゴを買ってきたらしい。

 

ただでさえ、おばあちゃんネタに弱い私からすると、

その健気さは泣ける。

 

昔は、砂糖が貴重だったから、みんな、お菓子や果物が大好きだって教わった。

 

洋菓子なんて、ほとんど無い時代、更に、幼少期に食べた物を好きになって、

ずっと、おばあちゃんになっても好きで、足腰が弱く、雨も降っているのに、

傘を差して、ゆっくり歩いて、リンゴを買って、帰る途中に転んでしまったのだ。

 

時代を感じさせる話は、何故か、胸が締め付けられて、苦しくなる。

 

おじいちゃんや、おばあちゃんの昔話を聴くと、すぐにこれだもの。

 

私は、おじいちゃんではないけど(多分)、幼少期に、

ビックリマンチョコを食べながら自転車に乗っていたら、

原付に跳ねられて、ビックリマンチョコが粉々になった事が悲しかったけど、

原付のお兄さんが、新しいビックリマンチョコを買いなと言って、

５０円をくれた事が、嬉しかった記憶として残っている。

 

駄菓子屋さんの匂いとか、木で作られた古い家とか、

初めてコンビニ屋さん(セブンイレブン)が出来た時、

シーチキンおにぎりを食べて、衝撃を受けた事とか、

森の中で、クヌギの実を見付けた事とか、ベンツにイタズラをした事とか、

プールの匂いとか、可愛がっていた亀の事とか、お豆腐屋さんとか、

タマゴラスとか、家族が一緒に暮らしてた時の事とか、

猫背のおじいさんが怖かった事とか、色々と、ノスタルジアに干渉し過ぎたかも。

 

すぅーって、良い方のため息が出て、幸せな人生だと思った。

 

そう言えば、いつかの寒い冬の真夜中に、

薄着で徘徊してた山本さん家のおばあちゃんを保護したけど、あれは怖かった。

 

何の前触れも無しに、真っ白のおばあちゃんが、

車のライトに浮かび上がるのだからね。

 

水車のあるおそば屋さんに行くと言ってたけど、

そもそも、この町に、そんなおそば屋さんなんて無いし。

 

嗚呼、何か、耳の軟骨が痛いな。